地名人名など用語を限界まで削った世界史の超入門書「小学生でもわかる世界史(ぴよぴーよ速報/朝日新聞出版)」
「全ての国民が楽しめるパラダイスみてぇな教科書を作りてぇ」というノリでできた世界史の超入門書「小学生でもわかる世界史(ぴよぴーよ速報/朝日新聞出版)」
目次
たまには、ビジネス書ではない肩の凝らない面白本を紹介いたします。
歴史の勉強で真っ先に押さえておくべき事は?
世界史は覚えることがやたら多い暗記科目だと苦手意識を持っていた方もいらっしゃることでしょう。
しかも、日本史ならまだ出てくるのは日本の人名や地名ですが、世界史だと紛らわしい人名や馴染みゼロの地名のオンパレード。
実は、事細かな人名や地名、年号などを覚えるよりも、大まかな歴史の流れをまず掴むのが歴史攻略のコツです。
なのですが、高校生向けの「大まかな歴史の流れを掴むための本」でも人名や地名、年号はけっこう出てきます。
※小中学校では世界史をやりません。
もっと極限まで固有名詞を削った、それこそ小学生でも読破できるような本はないものでしょうか?
ありました。
世界史を大づかみに理解させることに徹した超入門書
歴史が好きな小学生娘のために買ってきたのがこちらの本。
先に書いたとおり、極限まで固有名詞を削った大変読みやすい本で、大きく2つの特長があります。
特長1:人名や地名、年号がほとんど出てこない
この本の古代ローマについての一章を見ると、本文に出てくる人名は
- ハンニバル
- スキピオ
- カエサル
- アウグストゥス
- クレオパトラ
- テオドシウス
出てくる地名は
- ヨーロッパ
- イタリア
- ローマ
- アフリカ
- ギリシャ
以上!
このように固有名詞を極限まで削っているので、特に地名や国名の説明が雑です。
たとえば、古代ローマと敵対した国はこんな感じ。
- アフリカの先っぽのかなり強い国
- 中東の地域にあったデカい王国
そのほかでも、各章のメインになっている国以外は、基本
- 西の方のでかい国
- 中東風の国
のように、正確さや厳密さを投げ打って、何となくわかるような書き方にされます。
特長2:難しい言葉や概念が出て来ない
この本に出てくる人物はとにかくシンプルな物言いをします。たとえば、古代ローマがちょっと強くなると
「ほかの都市をボコすぞ」
などと言い出し、カエサルは
「ヨーロッパの北らへんを侵略するぞ」
「うっし、中央政府をボコすぞ」
と軍を動かします。
古代ローマで貧富の差が激しくなってきた時に対立するのは
- 貧困層助けようぜグループ
- 貧困層助けねえよグループ
ですし、ローマ帝国がヤバイ感じになった頃に登場するのは
- 北方に侵入してきた謎の異民族
- ヤバイ皇帝
- ダメな皇帝
です。
時代が下って20世紀に入ると、レーニンや毛沢東は
「全ての国民が平等なパラダイスみてぇな国をつくりてぇ」
とか言いながら共産革命を始めてしまいますし、ソ連軍にすぐそばまで攻め込まれたヒトラーは
「自殺するぞ」
と言って自殺してしまいます。
夏休みの間に世界史をザッとなぞりたいという方(で、上記のような表現に抵抗がない方)はぜひご一読を。