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覚悟がいるのは値上げ?それとも値下げ?【良い値決め 悪い値決め(田中靖浩・日本経済新聞社)】

値下げの覚悟が必要か考える。値下げしても利益が減ることも。値上げで受け入れられやすい方法考えるために本がある。

自分の胸に手を当てて考えてみても、値上げをする際には相応の覚悟がいります。

「値上げしたらお客さんが減らないか?」
「儲け主義だと批判されないだろうか?」

それに比べると、値下げには覚悟がいらないように思えます。

「周りが値下げ攻勢してるからうちも!」
「これで減ったお客さんを取り戻せるぞ」
「1割値下げしたから1割お客が増えれば」

しかし、本当にそうなんでしょうか?
覚悟なしに値下げして大丈夫でしょうか?

上で
「1割値下げしたから1割お客が増えれば」
と書きましたが、実はここ間違いです。

仮に売上のすべてが利益になるとして、値下げの前後で利益がどう変わるかを計算してみましょう。

・1割値下げ:値下げ前の90%
・1割お客が増える:値下げ前の1.1倍
0.9×1.1=0.99

値上げ前より少しだけ利益が減ってます。
これが利益率5割だったら

・1割値下げ:値下げ前の80%
(利益率が5割から4割になりますので)
・1割お客が増える:値下げ前の1.1倍
0.8×1.1=0.88

値下げ前の利益額を保つためには、
0.8×【1.25】=1
となりますので、お客様が「25%増し」になってくれないといけません。

利益率2割だったら
・1割値下げ:値下げ前の50%
(利益率2割から1割になりますので)
・1割お客が増える:値下げ前の1.1倍
0.5×1.1=0.55
値下げ前の利益額を保つためには、
0.5×【2】=1
となりますので、お客様が倍増しないといけません。

1割の値下げでは、あまりインパクトがありませんので、そこまでお客様が増えるのか非常に怪しいです。

しかも、上記の計算は「利益の現状維持」です。実際にはもっと利益(=客数)が増えないと値下げした意味がありません。

そして、お客様が増えても「利益なき繁忙」という難儀な状態になるのが望ましいのか、という次の問題も控えています。

目先の売上のために利益額が低い仕事を始めると、あとあと地獄に逆落とし。

※書いていて胸が痛みます。

じゃあどうするの?

どちらにしても覚悟がいるなら「値上げ」でお客様に受け入れてもらう道を必死に考える方が良いです。

値上げの理論武装と「受け入れられやすい方法」を知るのに良い本があります。

・良い値決め 悪い値決め(田中靖浩・日本経済新聞社)

単純に値札を書き換えるだけで利益が出るという都合のいい話なんかありません。

「値上げしたことを意識させない」
「値上がり分以上のお得感を打ち出す」
「複数の商品・サービスを組み合わせる」
「こっちよりお得、と思ってもらう」

などの方法を駆使して、利益なき繁忙とはオサラバしたいものです。

◆シンプルすぎる要約◆
売上を上げるのと利益を上げるのとは違うので、ここの区別をきちんと付けましょう。

・良い値決め 悪い値決め(田中靖浩・日本経済新聞社)