●志だけあってもノウハウがないとこうなるという話
東京都が作った「新銀行東京」は、貸し渋りや貸し剥がしに困る中小企業のために作られたが、結果はとんでもない状況になってしまったようだ。資金繰りの苦しむ企業に貸すだけではなく、相手を見極める仕事をしなかったため、大量の焦げ付きが発生した。この失敗から、成功するためには正しいノウハウの収集が重要だと言える。
銀行の貸し渋りや貸し剥がしで資金繰りに困っている中
小・零細企業のために東京都が作った「新銀行東京」が
とんでもない有様になっているそうです。
・破たん企業2300社 焦げ付きは285億円 新銀行東京
この「新銀行東京」構想のそもそもの言い出しっぺであ
る大前研一氏のコラムにはとんでもない事が書いてあり
ました。
・“東京都の銀行”、巨大赤字の真相(2007年3月7日)
当時、都の職員で銀行業務に携わった経験のある人は
日債銀に勤め中途で採用されたわずか一人だけ。
素人集団で銀行を、しかも大銀行が金を貸さないような
相手を見極める仕事をしていたら、そりゃ焦げ付きが続
出するのは当たり前です。
よその銀行がお金を貸さないような人たちに事業資金を
貸し出して上手い事いった例としては、グラミン銀行が
あります。でもこっちは、貸し出した事業資金が焦げ付
かないように、色々な手を打っています。
・女性に貸す(男性は飲む打つ買うに使いがちなので)
・近所との連帯責任を導入(これでは踏み倒せません)
・きちんと返済すれば金利が下がる
・借り手の生活を改善する手助けもしている
おかげで返済率は実に98.9%(焦げ付きはわずか1.1%)。
新銀行東京とはえらい違いです。
…と書くとムハマド・ユヌス氏に「比べるなボケ」としばかれそうですね。
一方、上記の記事を見る限りでは、新銀行東京では「と
にかく借りに来た奴に貸せばいいだろ」というテキトー
極まりない姿勢だったようです。
同行では、旧経営陣が原則5000万円とした上限いっ
ぱいの過剰融資を奨励。焦げ付きを不問にしていたほか、
「半年つぶれない会社だったらどんどん貸せ」との方針
を示していた。
このため、融資先への訪問調査や資金確認を行わないず
さん融資が常態化。破綻企業のうち、融資申し込み時点
で決算書の粉飾が疑われるものが相当数あったこともす
でに分かっている。
大前氏のコラムによると、中小企業やベンチャーへの支
援を言い出したのは石原知事だそうですが、ここまでデ
タラメな貸し出しをしていたら話になりません。
資金繰りに苦しむ中小・零細企業を何とかしたいという
志は良くても、貸してもいい相手かどうかの見極めがで
きないと、お金をドブに捨てる結果になります。
「良かれ」と思ってやった事が、やり方がまずかったせ
いで失敗するというのは珍しくもありません。お互い、
成功するために正しいノウハウの収集に努めましょう。
◆シンプルすぎる要約◆
何かをしたいと思っても、そのための適切なやり方を知
らないと、結局は回りに大迷惑をかけることになります。