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●「ライバル不在の殿様商売」は意外と脆かったりする

中日新聞の記事によると、海の家での利用客が減っているそうです。浜茶屋でのサービス、特にパラソルの貸し出しはほとんど行われていない状況だそうです。海水浴客は自分たちでパラソルやテント、シャワーを持参し、クーラーボックスには冷たい飲み物を詰め込んでいるとのこと。かつてはいくつもの海の家があったのに、今は半分以下に減ってしまっているとのことです。経営者は苦境に立たされており、悲鳴を上げているようです。ビーチの風景も変わってきているのかもしれませんね。

8月頭に中日新聞ホームページに「真夏の浜茶屋危機 
パラソル、シャワーなど持ち込み増える」という記事が
載っておりました。

浜辺に並ぶ海の家「浜茶屋」で潮風を感じながらゆった
り過ごす、という夏の定番の風景が県内でも薄れている。
浜茶屋の利用客が減り、経営者たちは悲鳴を上げている。
「どうぞ、中で休憩していってくださいな」。坂井市三
国町の三国サンセットビーチにある浜茶屋から響く声。
しかし、多くの海水浴客はそのまま通り過ぎ、浜辺でテ
ントやパラソルを広げる。浜茶屋でも以前は、パラソル
の貸し出しをしていたが、今はほとんどの店が貸し出し
をやめた。
海水浴客はパラソルやテント、さらには簡易シャワーを
持参し、クーラーボックスには冷たい飲み物がぎっしり。
「昔は缶ビールが飛ぶように売れたんだけど…」とある
浜茶屋の店員がつぶやいた。
約30年前には、ビーチには21軒あった浜茶屋も、今
は11軒しかない。三国サンセットビーチ浜茶屋組合の
組合長板本清美さん(63)は「週末の天気が悪いと大
打撃。先週の日曜も暴風雨で散々だった。花火大会(今
年は8月11日に開催)が盛り上がるから生きていけて
いるようなもの」と声を落とした。
福井市の鷹巣海水浴場でも“浜茶屋離れ”が進んでいる
という。

中日新聞(CHUNICHI Web):
真夏の浜茶屋危機 パラソル、シャワーなど持ち込み増える:福井
昔なら、海水浴に家族で来れば、海の家で「ビール買っ
て」「かき氷喰って」「ビーチパラソル借りて」「昼飯
喰って」「簡易シャワーと着替室借りて」てな感じで、
結構な金額を海の家に落としていたんでしょうね。
うちは田舎が海岸のすぐそばだった事もあって、海の家
のお世話になった事ありませんが。
しかし、時代は変わります。
電車で海に来ていたのがステップワゴンで乗り付けるよ
うになれば、飲み物食べ物ビーチパラソルなど、たいが
いの物は車に積めます。
あらかじめ必要な物はスーパーかコンビニで買っておけ
ば、海の家で買うよりはるかに安上がりですからね。
缶ジュース一本200円とか300円という観光地価格では、
このご時世では誰も買っちゃくれません。8月頭に福岡
県に行った時に泊まった東横インなんか、近所のコンビ
ニより安値で飲み物を売っていたくらいですから。
 
 
それに、車で来たら運転手はビールを飲めません。飲む
のは運転しない人だけですし、もちろん事前に買い込ん
だビール(か発泡酒か第三のビールか)を飲むでしょう。
これではビール類が売れる訳もありません。
 
 
海水浴客が山ほど来て、海の家で気前良く金を落として
くれた古き良き時代は帰ってきません。
電車で海に行くから手荷物しか持てない上に、近所にコ
ンビニもない、夏は近くの海で海水浴と相場が決まって
いた昔なら、ライバルといっても隣の海の家くらいしか
なく、みんな仲良く大繁盛できたのでしょう。
 
 
「ビジネスとして理想的な形は、海の家みたいに『他に
選ぶ物がないから嫌でもみんな利用してくれる』ビジネ
スだ」
なんてことを言った人がいましたが、ライバル不在とい
うのは、長く続けば続くほど弱くなってしまいます。
放っておいても勝手にお客様が押し寄せる状況が続いて
いるのに創意工夫を凝らそうなんて思えませんから。
そして、これは資格とか規制とかで守られている業界な
らどこでも同じ事ではないでしょうか?
今の環境に適応しすぎた生き物は、環境が激変したらあ
っさり絶滅してしまいます。何もしなくても儲かる状態
は、一見すると理想的ですが、実は『滅びの一歩手前』
なのかもしれません。
まるで「満ちた月は欠けるしかない」ように。
 
 
 
 
 
 
◆シンプルすぎる要約◆
『放っておいても儲かる状態』には憧れますが、よくよ
く考えてみると実は非常にヤバいです。