人は馴染みのないものを正しく評価する事ができない
100年に1度の不況」と言われる金融危機の真相とは?陰謀論や過剰反応に惑わされず、真実を知ろう。
アメリカでサブプライム問題が噴き出してから、新聞テ
レビや本・雑誌では「百年に一度の不況」だの「金融大
恐慌」だのという言葉であふれています。
あるいは「資本主義の終わり」「アメリカの没落」、あ
るいは「サブプライム問題は世界中から金をむしり取る
ためのアメリカの謀略」「ロックフェラー・ロスチャイ
ルド・ユダヤ・フリーメーソン(以下略)の陰謀」といっ
た言葉も本屋さんには踊っています。
さらに日経平均株価は4,000円、いや3,000円になるとか、
こんな状態では何だかもう世界は滅びるんじゃないかと
思えてきます。
(注:09年4月に8,000円を割り込んだ事はありません)
…でも本当にそんなに大げさな話なんでしょうか?
「100年に1度のチャンスを掴め!」という本によると、
あれは単なる「今まで何度もあった」バブルの崩壊でし
かない。アメリカの終わりでもなければ資本主義の終わ
りでもなく、100年に1度の大恐慌なんて大げさなもので
もない。のだそうです。
・100年に1度のチャンスを掴め!(藤巻健史・PHPビジネス新書)
単に
・支払能力に不安がある人向けの住宅ローンを作った。
→不動産は値上がりしてるから転売益で返せるはず。
→ローンの借り手付きまくりで資産が膨れ上がる。
→資産が膨れるのは嫌なのでローンを証券化する。
→妙に高い値段で証券化したローンが売れる。
→ジャンジャン売って売って売りまくれ!
しかし、
・アメリカの不動産の値上がりが止まる。
→転売益でローン返済は無理じゃね?
→サブプライム証券ってヤバくないか?
→「売ろう」
→買い手がいねー!
→暴落
どうみてもバブルです。本当にありがとうございます。
そこに持ってきて、「先物取引」だの「デリバティブ」
だの「CDS(クレジット・デリバティブ・スワップ)」だの
と、一般の人には馴染みのない言葉が乱れ飛んだせいで
すっかり思考停止してしまい、
「何か分からんけどえらいこっちゃ!」
と過剰にビビってしまったのが今回の不況の原因だろうと。
というのは実は長い前振りで、本題は「人は良く知らな
いものを正しく評価する事ができない」という話です。
多くの人にとって「死ぬのが怖い」のは「死んだ後の事
は死んでみないと分からない」からです(宗教などで死
後の世界を説いてはいますが、それが本当かどうかは死
んでみないと分かりません)。
「死」は宗教とか人生観が絡みすぎるので、もっと身近
な話題に転じます。
インターネットで調べ物をしない人にとっては、ホーム
ページを見た人が自分のお店に来てくれるということは
どうにもピンと来ないでしょう。
携帯電話を「通話のためにしか使わない人」にとっては、
あんなチマチマした画面とテンキーでホームページを見
たり検索したりする気になれるか、と思えてしまいます。
新聞や雑誌は読むものだとだけ思っている方にすれば、
自分から働きかけて取材してもらうのは、とてつもなく
ハードルが高い行為だと思い込んでいます。
というわけで、自分が日頃から馴染んでいないものを正
しく評価するのは実に難しいのであります。
◆シンプルすぎる要約◆
情報や知識がない事柄を正しく評価しろという方が無理
です。そして分からないものには価値がないと全面否定
してしまうか、「明確な答え」を与えてくれる陰謀論に
走ります。