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国策スパコン開発は「構想30年」、廃藩置県は「構想10日」

スパコン「京」の後退を受け、国家プロジェクトの意義や目標の不明確さを指摘する情報が流れています。一方で、廃藩置県がたった10日で行われた理由についても考えさせられます。共有された目標・方向性があれば、断行できることの意味や強さを感じます。

昨日、こんなニュースが流れてきました。

・<スパコン>「京」世界ランク2位に後退

この件に関して、ツイッターで下記のPDFファイルが流れてきました。

・「京」からエクサスケールへ
スーパーコンピューター開発と国家プロジェクト

上記(パワーポイントで作ったプレゼンテーション用ファイル)の
意味不明な部分を飛ばして読む限り、「京」が1位のままだろうが、
2位以下に落ちようが、国策スパコンは根本的にグダグダで、
どうしようもない代物であるらしいです。

・「そもそもスパコン開発って重要なのか」という原点を飛ばす。
・「何のために国費を使ってスパコン開発をするのか」も不明瞭。
・グダグダな目標へのアプローチ手法も、やっぱりグダグダ。
・「スパコン開発で培われた技術が民間に流れ半導体産業の活性化」という、とっくに破綻した前提に30年間しがみつき続けてる。

ちなみに、この資料を作った牧野淳一郎教授は、自分たちの研究に
必要な計算をさせる専用コンピュータを開発しています。

用途を限っているので、スパコンと同レベルの計算能力をスパコンの
10~100分の1くらいの値段で達成できるのだとか。

話は大きく変わりますが、日本史の授業で必ず習う廃藩置県。

諸大名の力を集めて江戸幕府を倒した明治新政府が、その大名から
勅令一つで支配権を奪い取ったのが「廃藩置県」です。

他の国なら(いや、日本でもほかの時代なら)血みどろの内乱に
なっていても何ら不思議はありません。

さぞや用意周到に根回しや準備を進めていたのだと思っていたの
ですが、先日買った本にはとんでもない事実が書いてありました。

廃藩置県(勝田政治・講談社選書メチエ)

タイトルにも書きましたが、明治新政府が廃藩置県を真剣に検討し
始めてから諸大名に通告するまで【たったの10日】。

・7月4日:長州藩士2名が山県有朋に廃藩置県を提案。即同意。
・7月5日:大蔵省の井上馨に提案。即同意。
・7月6日:木戸孝允に提案。即同意。
:西郷隆盛・大久保利通に提案。両者とも即同意。
・7月9日:薩長の秘密会談。
・7月13日:岩倉具視と三条実美に廃藩置県を行なう事を通告。
・7月14日:廃藩置県を断行。

江戸時代の270年間(大名によっては鎌倉幕府まで遡りますが)
各地方を支配して武力も持っている大名から領国を取り上げる。

血みどろの内乱が起こっても当然ですが、起こりませんでした。

当時、もっとも力を持っていた薩摩藩の島津久光でさえ、

廷内で一晩中花火を打ち上げ続けて鬱憤晴らしをした

くらいしかしていないのですから。

それにしても、内乱を覚悟の廃藩置県を構想10日で行えたのは、
「国のために必要不可欠」という前提を共有していたからでしょう。

政府の中枢にいた人々だけでなく大名家の側にも。

※これ以前から大名家から「廃藩置県」の申し出は数件あります。

・今は危機的な状況にある。
・これから目指すべき方向は●●だ。
・そのためには××が必要不可欠。
・途中で多少の犠牲が伴うのもやむを得ない。

ここまでを大枠ででも共有できていれば、かなり無茶な事でも
断行できるという極端な例と言えましょう。

◆シンプルすぎる要約◆
こう書いてしまうと独裁・寡頭政治の礼賛になりそうなのが何とも。
ただ、根本の部分を共有した上での即断即決は強いです。